「社員を辞めさせたい・・・」
「問題ある社員を解雇したい・・・」
このようなご相談は会社の規模や時期を問わず、本当に多いです。
しかし、会社は一方的に解雇ができるわけでもなく、多くの社長が悩んでいます。
なぜなら、解雇を行うためには、以下の要件が必要となります。
〇 客観的に合理的な理由があること
〇 社会通念上相当であると認められること
「客観的に合理的な理由」とは、誰もが辞めさせられてもしかたがないと思える理由をいいます。具体的にはおおむね次のような事由とされています。
〇 労働者の身体、又は精神に疾病や障害で、業務に堪えられない
〇 能力不足
〇 出勤不良
〇 協調性に欠け、他の従業員とうまく仕事をすることができない
〇 企業秩序維持義務違反
〇 業績不振などの経営悪化で人員整理が必要
そして、「社会通念上の相当性」については、労働者の行った行為や状態と解雇処分とのバランスを指します。
例えば、労働者の行為が軽微であるにもかかわらず解雇を行った場合、社会通念上相当ではないとなります。
さらに、就業規則に解雇事由を列挙し、それに該当しないと解雇そのものが厳しかったり、就業規則の作成義務があるにもかかわらず作成していない場合等は、解雇はほぼ無理と考えられます。このように解雇を実行するには「ハードル」が高いと考えられます。
そこで、現実的には「退職勧奨」が実施される場合が多いです。
この退職勧奨とは「会社が従業員を退職させるために退職を勧めてくること」をいいます。
最終的に会社をやめるかどうかの判断は、従業員が判断するので、退職勧奨は解雇とは違います。退職勧奨は、「会社から雇用契約の合意解約を申し入れている、あるいは、合意解約の申し入れをするよう誘っている」ことです。
つまり、簡単に言うと「契約を解約してほしいとお願いしている」
あるいは「従業員から解約を言いだすように誘っている」ことなのです。
だからと言って「会社から辞めてくれないか?」と言われているわけですから、トラブルとなる可能性が高いです。
特に「解雇なのか?退職勧奨なのか?」が争われるポイントとなることがよくあります。
退職勧奨は「法的な行為ではなく」、あくまで、退職を誘因するものですが、退職を強要する行為があると、法的に無効となる可能性があるのです。
仮に、退職勧奨を実施する場合は、法的なチェックを実施しつつ、従業員とのコミュニケーションをとり、誤解のないように退職勧奨の意義を伝えることが重要となるのです。