「名ばかり管理職」という言葉は、労務管理においてすっかり定着した感があります。
この言葉が知られるようになったのは「日本マクドナルド事件(東京地裁平成20年1月28日)」の影響が大きかったのです。
この事件は「直営店の店長を管理職とみなして、残業代を払っていないのは違法だ」として、埼玉県内の男性店長が未払い残業代など約1,350万円の支払いを求めて裁判を起こしたのです。
そして、東京地裁は「店長の職務内容から管理職とはいえない」として会社に約755万円の支払いを命じる判決を下し、新聞、テレビなどで大きく報道されました。
その当時、「わが社の課長やマネージャーは法的に管理職に該当しますか?」と多くの会社から、お問い合わせを頂いた記憶があります。
管理職として処遇すれば、残業代、休日出勤手当の支払いが免除されると法律で決まっているので、これを「悪用」した結果が「名ばかり管理職」登場となったのでしょう。
あれから8年程度経過したのですが、「管理職に該当するか?」というご質問は根強く、最近では「社員を取締役にさせたので問題ない」とお話しされた社長もいらっしゃいました。
確かに会社と取締役の契約関係は「委任契約」であるとされているので、労働基準法の適用はありません。
しかし、役員だから、取締役だから「残業代などを支払わなくても大丈夫」ということではないのです。