今日の勉強会は旅費交通費の役員給与該当性についてです。
国税不服裁判所にて公表された事例の一つを紹介いたします。
審査事例
青年会議所の会議等参加の為の旅費交通費は代表者に対する給与に該当するとした事例
●事例の概要
事業を営む請求人は請求人の代表者が青年会議所の会議等に出席するための交通費等を、損金の額に算入して法人税等の確定申告を行った。
一方原処分庁は、交通費等は代表者への給与だとして法人税等の更正処分等を行った。
これに対して請求人が、原処分庁の認定には誤りがあるとして、全部の取消しを求めた事案(棄却・平成27年7月28日採決)
請求人の主張
青年会議所の会議等参加のための旅費交通費等は業務上必要な費用となる
原処分庁の主張
旅費交通費等は業務遂行上必要ではなく、代表者個人に対する給与となる。
裁判所の判断
法人税法34条によれば、法人がその役員の活動について負担した費用が、事業遂行上必要ではなく、役員個人が負担すべきものと認められれば、役員個人に対する経済的利益の供与として、役員への給与に該当する。
業務遂行上必要であるかどうかは、社会通念に照らして客観的に判断するところ、本件会議の目的は公益的な活動であり、特定の個人又は法人の利益ではない。
また、本件会議に出席することで、結果として代表者の経営者としての能力向上、新たな取引先の確保等の成果を得たとしても、それはあくまで本件会議に出席したことによる副次的な効果に過ぎず、それをもって事業の遂行上必要なものであったとは言えない。
よって、本件会議に参加するための旅費交通費等は、請求人の事業遂行上必要な費用ではなく、本件代表者に対する給与に該当する。
このように代表者が事業遂行上必要だと主張しても、会議の目的等に照らせば業務上必要な費用とはいえず給与に該当すると認定される、ということがあるようです。
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